1.この記事で達成したいこと

2.本書の内容を三行で

  • 優れた小説家には才能があるが、自分にはそういったものはなく、凡人といっていい
  • では、凡人がどうやって小説を書き続けようか?(そもそもなぜ書くことになったのか?も触れている)
  • それは小説を書き続ける集中力とそれを支える体力を養おうと考え、試行錯誤していく、、

3.感想

本書は、特に秀でたわけではないが続けなければならないこととの付き合い方 という普遍的な問いに対して示唆を与えてくれる。自分は先天的な才能を持ち合わせていないという境遇が分かったとしても、集中力や持続力は後天的に身につけることができる。また集中力や持続力は肉体的な衰えと抗うためにも必要だという。そういった集中力や持続力を獲得するためになんとかランニングを始め、トレーニングを続けているが、その難しさと続けるコツ、考え方のヒントが本書では散りばめられている。ぼくにとって胸に響いた箇所は以下の2箇所だ。

Pain is inevitable, Suffering is optional. それが彼のマントラだった。正確なニュアンスは日本語に訳しにくいのだが、あえてごく簡単に訳せば、「痛みは避けがたいが、苦しみはオプショナル(こちら次第)」ということになる。 たとえば走っていて「ああ、きつい、もう駄目だ」と思ったとして、「きつい」というのは避けようのない事実だが、「もう駄目」かどうかはあくまで本人の裁量に委ねられていることである。

走り続けるための理由はほんの少ししかないけれど、走るのをやめるための理由なら大型トラックいっぱいぶんはあるからだ。 僕らにできるのは、その「ほんの少しの理由」をひとつひとつ大事に磨き続けることだけだ。

また、本書は継続する勇気と活力を与えてくれる。文体はみずみずしく、景色が目に浮かぶよう。自己啓発書というより小説を読んでいるかのような気持ちになる。それで何かを続ける難しさと大切さを自身の経験談になぞらえて語られている。ぼくはいわゆるソフトウェア・エンジニアとしてお仕事しているのだけど、本書を読み進めていくうちに、走って、自分をシステムに見立ててパフォーマンスチューニングしたい気持ちに駆られる。(実際やったがなかなか続かない笑。)

このようにぼくは本書から何かを続けること、とりわけ自分がそこまで得意ではないことを粘り強く続けることのエッセンスを学んだと思っている。とはいえ、これだけが本書から学ぶことができることではないはず。なんども読み返したい一冊である。