1.この記事を書こうと思った背景
ぼくはリモートワークで仕事をすることがほとんどだ。リモートワーク下において仕事でのコミュニケーションの大半は テキストベース だが、文章で自分の考えを伝える ことのむずかしさを感じることが多々あった。そうした背景がありつつ、以前読んで読みやすいと感じた『プログラマの数学第2版』や数学ガールシリーズの著者が 『数学文章作法 基礎編 (ちくま学芸文庫)』(以下、本書)を出版しているということで手に取った。本書から学んだことを、ここに書き留めておく。
2.目次
第1章 読者
第2章 基本
第3章 順序と階層
第4章 数式と命題
第5章 例
第6章 問いと答え
第7章 目次と索引
第8章 たったひとつの伝えたいこと
3.本書を通しての学び
よい文章を書くことはむずかしいと改めて感じる一方で、じゃあ、どうすればいいか?そのヒントを得ることが出来た。そのヒントを章ごとに挙げていく。
「第1章 読者」より
- 読みやすい文章を書く
- 著者は読みやすい文章を書く原則とは、読者のことを考える ことだという
- たしかに文章を読もうと手にとってもらわなければどんなにいい文章でも意味がない
- では、読者のことを考える とは何について考えればよいのか?というと、著者は以下の3点を挙げている
- 読者の知識
- 読者の意欲
- 読者の目的
書こうとしている文章は読者の知識レベルに配慮して書かれているか。文章を読み進めようという意欲を掻き立てるものか。読むことで自分の目的は満たされると思ってもらえるか。どれも抜け落ちていた視点だったので、本書を読み進めようという強いモチベーションに駆られた。(しばらく読み進めて、なるほど。これが読みやすい文章かとなった。)
また、本書では述べられていなかったが、会社やコミュニティなど書き手と読み手が共通のコンテキストを有する場合には、過去に積み上げられてきたドキュメントから文章の書き方や、そこで使われているローカルルールを押さえておくと、読者にとって読みやすい文章を書く助けとなるだろうとも感じた。
「第2章 基本」より
- 文は短く
- これは、何を主張している文か と自問自答
- 逆説ではない「が」を使い、冗長的になっていないか?
- 「ちなみに」と、本筋からはずれているとはいえ、理解の助けとなる話題を提示しているか?
「第3章 順序と階層」より
- 書き直しの重要性
- 書き直しをすることを想定して書き始めるべき
- 接続詞は使わず、箇条書きで書くことはせずとも、キーフレーズを書き並べるところから始めるだけでもいいかもしれない
「第4章 数式と命題」より
- あいまいさをなくす
- ひとつの文章ではひとつのことを伝える
「第5章 例」より
- 例のファーストチョイスは、典型的なもの
- その次に極端な例や、あてはまらない例、一般的な例などが続く
- 例を挙げる際にも、読者の知識レベルやバッググラウンドに配慮すること
OSS やクラウドベンダーのドキュメントでよく出てくる Getting Started は典型的な例にあてはまるのだろう。
4.なぜ、よい文章を書くことはむずかしいのか
よい文章を書くことはどうしてむずかしいのか。本書を読みながらこの理由について考えていた。
ひとつ挙げるとすれば、やはり書き手と読み手の知識レベルやバッググラウンドにギャップがあることではないだろうか。
だからこそ、読者のことを考える 、つまり、読み手の知識、意欲、目的に関心を持つこと がよい文章を書くうえで、もっともだいじなのではないか。よい文章を書くということは一朝一夕にできるものではないけれどコツコツと続けてモノにしたい。